2011年9月22日木曜日

オイルシールの交換

カムシールやクランクシールの交換ってよくある作業だ。
オイル管理が悪い車両は、よくここらからオイルが漏れている事がある。
タイミングベルト交換時などに必要ならばこの部分の交換をする。
オイルシールの抜き取りは、シャフトの間に金具を突っ込んで引っ張り出す。この専用工具は何種類かある様だ。
気の利いた工具には、シャフトの傷防止のためにテフロン製の薄いシートが付属されてたりするが、これはフニャフニャしててなかなか使いにくかったりする。
そこでおいらはアルミ缶を切って使っている。これならフニャフニャして入れにくい事もなく、破れてシャフトに傷付ける事もない。

なかなか具合がいいのがこの工具。
例によってストレートのドラゴンツール?。(別にストレートのファンというわけじゃないぞw )

2011年9月15日木曜日

やらない方がいい?

スズキDA62Vエブリィのデフシールからのオイル漏れ。

この手の修理はプロペラシャフトを外して、コンパニオンフランジを抜き取り、オイルシールを外して交換する事が多い。

このエブリィもその様に修理したのだが、一年ほどしたら、デフから音が出る様になってしまった。どうやらドライブピニオンのベアリングが駄目になった様だ。

デフをオーバーホールには専用工具が必要になり、作業も大変なので、中古のデフを調達して交換した。



何故ベアリングが駄目になったのか、その時はわからなかったが、ある日サービスマニュアルを眺めていたらその原因がわかった。

ドライブピニオンのベアリングのプレロードは、コンパニオンフランジを止めるナットにより、図の5のスペーサーが塑性変形する事で調整されていたのだ。

故障の原因はつまりプレロードが狂ってしまったからだった。

スペーサーを塑性変形させて調整するので、基本的にはコンパニオンフランジを取外した時は、スペーサーを新品に交換してプレロード調整をしなければいけない。しかし、スペーサーはデフ内部に組まれているので、交換にはデフ本体をばらす必要がある。

メーカーに確認したところ、やはりオイルシール交換にあたっては、内部のスペーサーを交換してプレロード調整してやるべきだとの回答を得た。

ディーラーさんに聞くと、この構造は知らなかった様で、車載で分解せずに行っているとの事だった。運がよければ問題なかったのだろうが、多分なかには後で壊れたりしたのではないだろうか。

しかしダダ漏れになっていたらオイルシールを交換しないわけにはいかない。
さすがにデフを分解してやっていたら、修理代はとんでもなくなってしまう。
やるとしたらこうするのがいいか・・・
① 分解する前にコンパニオンフランジのナットの締付位置をマークして慎重に緩める。
② 緩めたら一度静に締め付けていって、ナットが座面に当たる位置を見る。この位置と締め付けてあった位置の角度を記録しておく。
③ オイルシールを交換して、コンパニオンフランジを取り付けてナットを座面に当たるまで静に締め付ける。(ナットはつぶしてロックするタイプなので交換する必要がある)
④ ②で記録した角度まで締め付ける。これでもとの締付状態に戻ったはずだが、一度変形したスペーサーをまた変形させる事になるので、プレロードが若干足りなくなる可能性がある。そこでほんのちょっとさらに締め込んでやる。
⑤ これでナットの頭をつぶし回り止めして終了。
プレロードはある範囲内に入っていればいいので、もともとがプレロード過剰気味になっていないかぎり大丈夫だろう。

この辺りの構造はスズキ以外ではどうなっているのだろうか?と思い調べてみた。
ちょっと古いがトヨタのSR40系のライトエースを見たら、やはり同じ様にスペーサーを塑性変形させて調整している。軽や小型にはこの構造が多い様だ。
トヨタ場合は、コンパニオンフランジを取外した側からベアリングが外せる様になっていて、外からスペーサーを交換できる様になっている。
マニュアルにもオイルシール交換時はプーラーでベアリングを外して、スペーサーを交換してプレロード調整をしろと書かれている。
しかしプーラーは特殊な形状のものが必要だし、外したベアリングを打ち込むのもかなり大変な作業だ。それに左右輪のドライブシャフトがついた状態でプレロード調整がはたしてできるだろうか?


結局余程漏れていないかぎり、この部分のオイルシールの交換はやるべきでないのかもしれないな・・・

2011年9月8日木曜日

接触不良

スバルのプレオがエンジンがかからない時があるという。
確かにイグニッションをひねっても、かからない時はなんも音もしない。かかる時は普通だ。
キースイッチの接点が駄目になってんだな。サンバーなんかでもこの症状はよくみられる。
プレオはこの部分の保証延長が出てて、初年度登録から11年になってるが、このクルマは13年も経ってるのでアウトだw
交換したものを分解してみた。接点が焼けている。
プレオはスターターリレーがなく、マグネットスイッチのON電流が直接この接点を通る。この形状だと容量的にちょっと無理があるみたいだな・・・

2011年9月1日木曜日

煤がたまる

画はDA62VエブリィのISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)の中身。

バイメタルのバルブとステッピングモーターのバルブが直列に配置されている。スズキのNAのK6エンジンやK6に替わる直前のF6エンジンには、この形式のISCVが使われている。
走行距離が上がってくると、この辺りにカーボンが溜まってきて、アイドル不良が起きることがある。暖気後に回転が下がりすぎたり、ハンチング気味になったりする。

外部診断機を使ってISCVの開度が暖気後でも50%を超えている様なら、スロットルボディーを外して清掃した方がいい。スロットルボディー、ISCV通路、バルブ類を洗浄剤で慎重に清掃する。むやみに洗浄剤を吹きかけてはいけない。モーターやスロットルポジションセンサーに入り込むと、絶縁部が溶けて故障の原因になる。
洗浄すると、ISCVの開度は20%前後になる。カーボンで通路が塞がっていた分、開度が余計に必要だったからだ。

通常ISCVユニットから、ステップモーターとバイメタルバルブは取外すものではないらしく、この部分のOリングは部品設定がない。外しても再使用しなければならないので丁寧に扱う事。尚、バイメタルバルブは位置決めがあるので、取外す前に合いマークを付けて組み付け時にずれない様にする。

普通の工場?はISCVはユニットごと交換してしまうらしい。値段は2万円ちょっとするらしいけどね・・・

ISCVのカーボン詰まりのトラブルは、他のメーカーの車種でもよくある。カーボン堆積はオイル量の入れすぎが原因の一つだ。入れすぎてると高回転時に噴出して、ブローバイの通路からINマニに吸われてカーボン堆積の原因になる。オイル量はレベルゲージ中間ぐらいにしておくのが安全だ。アッパーぎりぎりまで入れる必要はない。