2017年12月28日木曜日

ドロドロじゃん・・・

 暮れも押し迫った時期に、高速でエンジンが止まって動けなくなったというDA64Vのエブリィがレッカーに乗ってやって来た。
平成22年の走行距離は約11万㎞。
うちで新車で買ってくれたのだが、途中車検の二年間乗りっぱなしで3万Kmほどオイル交換をしなかった事があった。
オイルを食う様になってしまって、オイルランプが頻繁に点くので、近いうちにオーバーホールしようと言ってた矢先に止めを刺してしまった様だ・・・
来た時には完全にロックしていたが、クランクを手で強引に回したらエンジンを掛ける事ができた。
しかしえらいメタルの打音がする。症状は再生してうちで使ってるエブリィと全く同じだw

 とりあえずエンジン引っぺがす。
今年はエブリィの修理が多かったな・・・


オーバーホールしてやりたいところだが、たまたまDA62Vのエンジンを持っていたので、これに載せ替える事にした。(手前のK6A)
このエンジンは排気バルブが損傷してオーバーホールしたK6Aだった。
14万㎞で修理後、五年間で8万㎞ほど走った。まだ十分使えたのだが、たまたま出物の下取車があって、車検のタイミングでこの夏にお客さんが乗り換えていた。
降雪地方のお客さんだったので、車体の腐りが激しくスクラップにしたのだが、エンジンはまだ使えそうだったので外して置いていた。
暇見てバラしてみようと思っていたのだが、そのまま放置しておいてよかったw



 DA64VとDA62Vでは補機類のベルトの取り回しが違う。
そのままだとカムチェーンカバーの突起がクランクとウォーターポンプのプーリーに干渉する。
それとオルタネータとA/Cコンプレッサーのマウントのネジ穴がオイルパンに一ヵ所足りなくなるので、本来ならばカムチェーンカバーとオイルパンを交換するといいのだが、そこまで手間も掛けていられない・・・
カバーの突起は削ってしまって、マウントのネジは一ヵ所留められないが、他で十分留まっているので実用上は問題ないとした。

IN,EXのマニホールドのスタッドボルトに違いがあったりしたが、交換してしまえば問題なく組めた。












載せ替え完了。
22万㎞走ったK6Aだが、音も静かでまだ調子よく回る。
細かい違いはあるのかもしれないが、基本的な部分は64と62でほぼ同じ様だ。NAでVVT無しのK6AエンジンはFFもFRでもカムプロフィールも違いはないし。

あと10万㎞ぐらいは走ってほしいなw




さて、壊れたK6Aはどうなってたかっていうと・・・
オイルパン開けたらドロドロだったw
















1番のクランクメタルが焼けちゃってた・・・










辛うじてメタルが残ってたが、クランクピンは齧っちゃって駄目だな・・・

2017年12月16日土曜日

交換してないんか・・・

 最近ちょくちょく来てくる様になったお客さんの平成16年のTV1のサンバーバン。
中古で買ったらしいが15万㎞程走ってる。
ある日路上でエンストして、そのままレッカーされてやって来た。
この年式だと運転席足元の1極の黒いコネクターの雄雌をつなげるとダイアグが見れる。つなげてみるとクランク(実際はカム)角センサーの異常と出た。
センサーはヘッドカバーに付いている。
念のため本当にセンサーが駄目なのか確かめてみようと、たまたま持ってたスズキ車から取った物をくっ付けてみた。
センサーは三菱電機製で、コネクターの形状が微妙に違うが、中身は同じで切り取ったハーネスを使って無理くり接続してみた。
セルを回してみるが、全くエンジンが掛かる気配がない・・・
なんだろか?・・・まさかと思ったが、センサーを外した穴からタイミングベルトを見ながらセルを回したら、ベルトが全然動いてないじゃんw

 15万㎞走っていたが、どうやらタイミングベルトを交換した事がなかったらしい。
所々コグが飛んでクランクが空回りしていた。
クランクが回ってるのにカム角の信号が入力しないから、ダイアグにセンサー異常が記録された様だ。何も考えずセンサーを発注しなくてよかったw
しかしこれじゃバルブ当たって駄目だろうなと思いつつ、タイミングベルトを交換してみたが、案の定4気筒とも圧縮がほとんどなかった・・・

どうしよか~?って、お客さんと 相談したら、新たに買う事考えると直した方が安上がりだって事になった。
とりあえずヘッドを引っぺがしてみる。
あまりオイル管理はよくなさそうだな・・・

リアエンジンのサンバーはスズキやダイハツと比べるとちょっと癖があるけれど、案外整備性はよさそうだ。

 ヘッド外れた。
ピストンには吸排気ともバルブが当たった跡がある。
 ヘッドカバーはえらい事になってるだな・・・
これの清掃が面倒だったw

 サンバーって2バルブなんだな。
なんとなくスーパーカブみたいだなw

バルブ全滅だわね・・・

 シートは何とか行けそうだ・・・

 4気筒とはいえ、2バルブだったからよかったw

 しかしなんとも汚いだな・・・
オイル交換は早めにやってよねw

折角だからオイルパンも剥ぐって、ピストンも外す事にした。

660㏄の3気筒を見慣れてると、やけに小っちゃく見えるピストンだ。


 コンロッドメタル駄目だな・・・ピストン外してみてよかったw
メタルは交換する事にした。
サイズはSTDの他に0.03、0.05、0.25㎜オーバーサイズがあるらしい。
ほとんどの場合STDサイズで間に合うそうだ。
そういやスズキのK6は一つのサイズしかなかったな・・・普通はそんなもんでいいって事かw


ピストンリングは思ったほど固着は酷くはないが、距離相応って感じだね・・・

 シリンダーの摩耗も思ったほど悪くはない。


 バラした部品はっ徹底的に洗浄する。

 ピストンもきれいになった。
リングは状態がよさそうなので、そのまま使う事にした。

 ブロックは車載状態なので、キャブクリーナーでカーボン溶かしパーツクリーナーで洗い流して、極力きれいに掃除しておいた。

ピストンくっ付いた。
今の感覚だと1000㏄程度までなら3気筒で十分ってなってるが、660㏄で4気筒なんて無駄にコストが掛かってるよな・・・
スバルが軽の生産やめちゃった理由も、そんなところにあるのかもしれない。

バルブは全て交換して、シートを摺り合わせて当りを確認する。
スズキのK6なんかは結構バルブガイドのガタが大きくなってたりシートも摩耗してたりするが、このエンジンはガイドのガタもないしシートもそれほど摩耗してない。
サンバーは丈夫でいいなんて話をよく聞くが、確かにそうなのかもしれない。
加工精度か材質かは分からないが、案外そんなところにもコストを掛けて作っていたのかもしれないな・・・


今どき2バルブのエンジンってのも、なんだか新鮮に見えるw
サンバーは意外と燃費がいいなんて話も聞くけど、2バルブのくせに何でなんだろか?







ロッカーアーム式だから、バルブクリアランスはネジで調整出来ていいね。
シム調整みたいに部品代掛からないし手間なくていいねw

組み上がった。
サンバーは案外整備性良くていいね。
S/C付いてるプレオなんかは、ベルトの交換えらく面倒だったりしたが、それから比べると大違いだなw

ちゃんと手を掛けてれば、あと倍近く走ると思う。どこまで使ってくれるか楽しみだ。

2017年11月24日金曜日

折角だから

エンジン再生してうちの代車で使ってるDA64Vのエブリィが車検だった。
あれからK6エンジンは調子よく回って使えている。意外といけるもんだなw
ブレーキパッドが残量なかったので交換した。それとキャリパもオーバーホール。
ついでなのでディスクも研磨する事にした。
約15万㎞になるが、摩耗はそれ程でもないが、外周に錆びがあって微妙にパッドの縁が当たらなくなってる。放っておくと錆びが広がって、外周の当たらない部分が広がってくる事がある。稀にディスクの半分ぐらい錆びで当たってないなんてのもあるんだよな・・・
研磨は外注だが部品商が研磨機を持っていて、比較的安くやってもらえるので助かってる。
頻繁にやるなら機械が欲しい様な気もするが、結構高いし置き場所ないからやっぱり買えないw

2017年10月24日火曜日

塗らない方がいい

 ジムニーの車検をやってたら、トランスファのドレインボルトが固着してた。
ディーラーさんでオイル交換してそのままだったので、おそらくシール剤を塗って留めているのだろう。
基本的にテーパーネジになってるのでシール剤塗らなくても滲んでくる事はない。
シール剤塗ると固着しちゃう事あるんだよな・・・
どうにも回らなくて、ネジの頭がバカになってしまった・・・しょうがないからボルトを熔接して外した。
スズキのこの手の四角ボルト(って言うのか?)は対面幅10㎜で、3/8incのレンチで回らないこともないが、ボルトが傷つくのでお勧めできない。
昔散々探して10㎜の四角ソケットを手に入れた。今なら安いのが結構あるらしい。

しかし余計な手間掛かったな・・・困ったもんだw


2017年9月16日土曜日

一本無いぞ・・・

うちで代車で使ってるMC22SのワゴンR
以前の持ち主はディーラーさんでメンテナンスしていたらしいが、その時にエアコンのコンプレッサーのブラッケットのネジを一本ネジ切ってしまった様だ。
この状態でもベルトの張り調整はできたので騙しだまし使っていた。
しかし僅かに傾くために、エンジン掛け初めにキュルキュル音が出る事があった。

めんどくさいけど、みっともないので直す事にした。
残ったネジをポンチで叩いたり色々やってみたが、簡単には緩まない・・・
仕方がないので穴あけてみるが、ハンドドリルであけるのは難儀する。ボール盤で固定してやりたいところだが、ガス抜いてコンプレッサー外すのは 嫌だw

 あいた穴にエキストラクターを叩き込んで回してみたがびくともしない・・・エキストラクターの先端がねじれた・・・orz
しょうがないのでぎりぎりまで穴を拡大してタップを立てた。
若干斜めになってネジの一部も残ってしまったが、なんとかネジは立った。
大勢が悪くてしゃあないか・・・



音は出なくなった。直してよかった。
しかしM8のネジだからって、そんな簡単にねじ切れるものでもないのにな・・・困ったもんだw


2017年9月4日月曜日

冠水道路にご用心

DG17Vのスクラム。
大雨降った日に水の溜まった道路を通過したら、エンジンからえらい音が出だしたとの事。
やばそうなので見に行ったら、エンジン掛け初めは音がしないが、エアコンが入るとえらい音が出始めた。
どうやらファンが原因らしい。
念のためボンネットを開けたら、ラジエターのリザーブタンク(加圧式になってる)が空になってる・・・
よくよく見るとラジエターが漏れてる様だ。
うちからはそれ程距離はなかったが、危ないので保険のロードサービスを使って来てもらった。
ラジエター液はほとんど抜けていた・・・気が付いてよかったw

DA62のエブリイなんかはエアコンのコンデンサー外さずにやろうとすると結構厄介だったが、最近のエブリイの系統は手間ではあるがラジエターの脱着はそれ程難しくはない。バンパーと真下のメンバ外せば隙間ができて、割と楽に外せる。

ファンの羽根が砕けてラジエターに突き刺さった様だ。
ファンが回ってる時に水流が来て砕けたのだろう。
エアコン掛かってなければ砕けなかったかもしれない。
何れにしろ冠水してる道路は通べきじゃない。
ちょっとぐらいの水ならと思いがちだが、例えばシールがあるとはいえハブに水が入る可能性もある。基本的に防水にできてる訳じゃない。

ラジエターとファンの羽根を交換した。ファンは羽根だけ部品の設定があってよかった。
うちだとマツダの部品は発注すると翌日配達になるが、スズキから取る事が出来たので一日で終わって助かった。スズキならうちの場合午前中発注なら、在庫があれば午後には配達される。
臨機応変に対応してくれるスズキの部販は有難いw



2017年7月20日木曜日

見事な切れ方

前回の車検から二年ぶりにご来店のお客さん。車検でお預かり。
エンジン掛け初めにベルトが鳴るから見といてとの事。
見たら輪切りになってるじゃん・・・


しかしここまで見事な輪切りは初めて見たw
リブの谷間が全部切れてる。
リブベルトはブチっと切れてしまう事は少ないが、摩耗して輪切りになってしまう事が多い。
キュルキュル音が出始めると、滑って摩耗が促進される。
山と谷が痩せたり、表面のゴムが硬化すると滑りやすくなる。
しかしよくこれで走ってたもんだな・・・音が出たときは早めにご来店ください~

2017年7月19日水曜日

流用できる?

エンジン再生して代車として使ってるエブリィのエアコンが効かなくなった。
エアコン入れ始めは効いているが、しばらく走ってると効かなくなる。
よくよく調べると、熱くなるとマグネットクラッチが切れてしまう様だ。
最初はサーマルスイッチを疑ったが、電圧と抵抗を確認してみると、クラッチコイルが駄目になってた。
クラッチコイルだけ部品で出るのかと思ったら、クラッチAssyになってしまい、部品代も17000円もする・・・
どうしたものかと考えてたら、HA23Sのアルトから外したコンプレッサーがあるのを思い出した。
アルトのはプーリがVベルトなのに対し、エブリィはリブベルトだ。コンプレッサーも大まかな形状は似ているが、微妙に違うみたいだ。
こりゃ駄目かいな?と思いつつマグネットクラッチを外してコイルを見比べたら、両方ともほとんど同じ形状だった。
エブリィはサーマルスイッチとコイルは一体だったので、線を切ってサーマルスイッチはそのままで、アルトのコイルを組んでみた。
問題なく作動した。ラッキーw~
厳密に言えばあまりいい事ではないのかもしれないが、スズキのこの辺の部品って結構流用が効くみたいだ。
そういえばこの前はエアコンの効かなくなったJA22WのジムニーにHA23Sのアルトのコンプレッサーをそのまま取り付けて直した事があった。
取っておいた部品も意外と役に立つもんだw

2017年6月16日金曜日

やっとこ完成~

さっさと組み立てたいのだが、なかなかそうもいかない・・・
EXマニの遮熱版取り付けるボルトが2本折れていた。遮熱版はボルト1本で留まってた。
多分タービン交換した時に固着してて折っちゃったんだな・・・
そのまま1本のボルトだけで留めて組むのも何だから、折れたボルトを抜き取ってみる事にした。
ドリルでもんで・・・

タップ立ててネジ穴なんとか再生できたw

エンジン単体に先ずは排気系の部品とウォーターポンプをくっ付ける。
エンジン下側になる部分の部品を組まないとエンジンマウントが付かないんだな。
エンジンマウントくっ付けて、ついででクラッチも組み込む。
ターボとクラッチは交換してあったから、これから使ってく上では安心ではあるね。


念のためサーモスタットとラジエターキャップは交換する事にした。
エブリィにはラジエターキャップが二か所付いていて、エンジン側のサーモスタットハウジング上にはこんな形のキャップが付いてる。
右が交換前の物だが、この形式のキャップは負圧弁が樹脂製で、年数経ってると劣化して折れちゃう事がある。
折れちゃうとラジエターが加圧できなくなって、液を吹いてオーバーヒートしちゃう。
左が新しいキャップだが、弁の形状が変わってる様だな・・・

オルタネータのベルトはひび割れだらけだったので、ベルトは2本とも換える事にしたが、オルタネータのベルトのテンショナもグリスが切れていたので交換した。
この手のテンショナやアイドラはグリス封入のベアリングで出来ているが、10万㎞ちょっとするとグリスが切れてカラカラ回る様になってしまう。
そのまま使ってると焼き付いてベルトが切れてしまう事がある。

INマニとオルタネータ付けて補機類はあらかた組み込めた。

ミッションくっ付ける。
MTだとクラッチディスクのスプラインにシャフトを通すのが厄介で、ATよりちょっとばかし手間かかるだな・・・

いよいよ車体と合体~
縦置きエンジンはFFの横置きよりかやりやすくていいね。

配線と配管を接続してやっとこ完成。
配線や配管は順番に段取りよくやらないと、後で取り回しの辻褄合わなくなっちゃう事がよくある。エンジン脱着で一番手間かかる部分だよな・・・

修理後の圧縮は3気筒とも約12kgf/cm^2になった。
エンジン音も静かで回転も滑らかだ。
多分数馬力上がった感じがする。これならまだ十分使えるだろう。
しかし当初の目論見より交換が必要な部品が増えて、ちっと費用が掛かってしまった・・・

走ってる距離や年数的にも、普通はオーバーホールするなんて事はしないのかもしれない。
しかしこの手の軽バン系のクルマは、程度のいいものって案外高い。
ちっとお金は掛かってもオーバーホールしてみるのも手だと思う。
本音を言うとえらい手間掛かるんで、商売としてはあまりやりたくないんだけど・・・でも面白いからまあいいかw